リウマチの標準治療(17)

関節リウマチ治療薬のアバタセプト(商品名:オレンシア点滴静注用250mg)が製造承認を取得

2010年7月23日、関節リウマチ治療薬のアバタセプト(商品名:オレンシア点滴静注用250mg)が製造承認を取得しました。海外では、2005年12月米国で承認されて以降、2010年7月現在、世界50カ国以上で承認されています。日本では、既存治療で効果不十分な場合に限る、「関節リウマチ」とい投与条件です。

承認されたアバタセプトは、抗原提示細胞とT細胞間の共刺激シグナルを阻害し、関節リウマチの発症に関与するT細胞の活性化を抑制することから、「T細胞選択的共刺激調節薬」 と呼ばれています。1回当たり500mgから1g(患者の体重によって異なる)を、初回投与後は2週目と4週目、以後は4週間ごとに点滴静注することとなっています。

従来の生物学的製剤(インフリキシマブ(商品名:レミケード)などの腫瘍壊死 因子(TNF)α阻害薬や、インターロイキン-6(IL-6)受容体抗体であるトシリズマブ(商品名:アクテムラ))よりも上流で作用するのが特徴です(ステロイドはさらに上流です)。ステロイドと従来の生物学的製剤の間くらいの位置づけと考えてください。

さて、気になる副作用です。国内の臨床試験では、83.4%の何らかの副作用(臨床検査値異常を含む)が認められています。主な副作用は、上気道感染(34.1%)、上気道の炎症 (10.8%)、口内炎(9.0%)、発疹(6.7%)、高血圧(5.8%)などで、臨床検査値異常は、リンパ球減少(12.6%)、血圧上昇・白血 球増加(各11.7%)、ALT増加(9.0%)、血圧低下(6.3%)、尿中白血球陽性(5.8%)などでした。重大な副作用としては、重篤な感染症や過敏症、間質性肺炎などが報告されています。

関節リウマチは、慢性炎症性疾患で、多発する関節炎と急速に進行する関節破壊等の関節症状以外にも、肺、腎 臓、心臓、眼、皮下組織等の関節外組織にも慢性炎症が起こる全身性疾患です。従来の生物学的製剤もあまり効果がないばかりか、それにしか頼ることのできない関節リウマチの患者さんもたくさんおられます。そのほとんどが何らかの副作用に悩まされているのが実情です。

アバタセプトが従来の生物学的製剤より上流で働くということは、効果が高い代わりに副作用も強いということが論理的に導かれます。今後の市販後調査の結果、どのような副作用が出てくるのかが問われてくるでしょう。

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