関節リウマチ医学最新ニュース（９２）
英国立臨床評価研究所NICEが若年性特発性関節炎（JIA）にトシリズマブを推奨
関節炎といえば，一般に成人の関節リウマチを思い浮かべますが，小児でも発症する疾患で、若年性特発性関節炎（JIA）といいます。若年性特発性関節炎（JIA）は原因不明で，多くの臓器で多彩な症状を呈します。発熱と皮疹で始まり，次第に関節の腫脹と炎症，強い疼痛が発現して日常生活が障害されます。あらゆる年齢層の小児が罹患する可能性があり、全身型若年性特発性関節炎（JIA）は強い疼痛，倦怠，関節可動域の制限などを来し，患児の家庭や学校での生活，心身の健康に多大な影響を与えます。
英国立臨床評価研究所（NICE）は，2012年に発表したガイダンスで，2歳以上の小児・若年者における全身型の若年性特発性関節炎（JIA）の治療に生物学的製剤であるトシリズマブを推奨しました。
今回のガイダンスによると，生物学的製剤であるトシリズマブの投与は，非ステロイド抗炎症薬（NSAID），副腎皮質ステロイド，メトトレキサートなどで治療を行っても効果不十分な場合に推奨されるとしています。メトトレキサートで効果が見られる場合や同薬による治療を受けたことがない場合には，トシリズマブは推奨されないとしています。
それは副作用が重大であることの裏付けになっていることに留意しましょう。なお、今回の経緯について，「NICE独立評価委員会の求めに応じてRoche社が追加情報を提供したほか，薬価の引き下げに合意したことを受け，同委員会はトシリズマブの推奨に至った」と説明しています。薬屋さんとの談合でガイダンスが決められるとは悲しい限りですね。