関節リウマチ医学最新ニュース（６７）
米欧のリウマチ学会が合同で2通りのRA寛解基準を発表
米国リウマチ学会（ACR）と欧州リウマチ学会（EULAR）は、関節リウマチ（RA）の暫定的な寛解基準を発表しました。
- 圧痛関節数（TJC）、腫脹関節数（SJC）、患者全般的評価（PtGA）が1以下、C反応性蛋白（CRP）1mg/dL以下のすべてに該当
- 総合的疾患活動性の指標であるSimple Disease Activity Index（SDAI）3.3以下
と定義しています。（Arthritis Rheum2011; 63: 573-586, Ann Rheum Dis2011; 70: 404-413）
関節リウマチ（RA）における寛解が達成可能なゴールとなる中、ACRとEULARは委員会を招集し、関節リウマチ（RA）に関する臨床試験を合同で分析しました。
最長で2年の追跡期間中、機能的転帰が良好で、X線所見による関節破壊がないことを目安に、最適な寛解基準の策定を進めました。
その結果、TJCとSJCの各28関節、CRP、PtGAの4項目のコアセットの組み合わせ、あるいは、昨年（2010年）11月のACR年次学術集会で提唱され、TJCとSJC、患者と医師それぞれの全般的評価（PtGA、PhGA；0～10cm）にCRP値を加算したスコアで表すSDAIを用いた関節リウマチ（RA）の寛解基準を定義（表）しました。
この2つの基準や、SDAIからCRPを除いたCDAI2.8以下では、追跡期間中の画像所見が安定していたのに対し、現在、寛解の診断のために広く用いられている疾患活動性スコア（DAS28）については、一般的なカットオフ値である2.8未満でも、2.0未満でも転帰にばらつきが認められました。
関節リウマチ患者さんの治療のゴールとしての適切な指標の一般化は困難であることが示されています。関節リウマチという疾患も癌と同じく症状に幅があり、個々人にパソナライズした治療が必要であることが再確認されたといってよいでしょう。