関節リウマチ医学最新ニュース（５８）
血小板が関節リウマチの炎症増悪に関与
血小板から産生される微小粒子が、滑液中に侵入して関節リウマチ（RA）に伴う炎症を悪化させることがScience（2010; 327: 580-583）に発表されました。
血小板は血液凝固系において重要な役割を果たしていますが、炎症プロセスで炎症を促進させるというエビデンスも増えつつあります。血小板の活性化により放出される血小板微小粒子はベシクルで、これを介して体中に生体分子が輸送されます。
今回、血小板由来の微小粒子が自己免疫疾患の1種である関節リウマチ（RA）の炎症プロセスに関与していることを見出した。この微小粒子は、さまざまな炎症性関節炎患者の滑液中で検出されましたが、炎症プロセスの異なる変形性関節症患者では検出されませんでした。炎症性関節炎のモデルマウスでも、血小板を減少させると疾患の発症が抑制されました。
また、血小板由来の微小粒子の産生を促進するGPVIという糖蛋白質も突き止め、この蛋白質を阻害することが、わかりました。関節リウマチの患者さんの血少板を減少させる治療はできませんので、このようなタンパク質を特異的に阻害する物質が研究されるでしょう。