関節リウマチ医学最新ニュース（４１）
生後1年以内の重度感染症罹患は成人早期の関節炎リスクの増加因子
カロリンスカ大学（スウェーデン・ストックホルム）リウマチ部門のCecilia Carlens博士らが，生後1年以内に重度の感染症に罹患すると，成人早期に関節炎を発症するリスクが高くなる傾向があると報告しました（Annals of the Rheumatic Diseases（2008; オンライン版）。
今回の研究では、病院での治療と関節炎発症に関する国内登録データを用いて，1973?2002年に生まれた3,500人以上の健康状態を追跡調査しています。
炎症性疾患に罹患しなかった人と比較した場合，成人早期に関節リウマチ、突発性関節炎（幼児や10代で発症する関節炎）を発症する割合が高いのは、
- 早産，低身長，低体重で3人以上の兄弟姉妹がいる場合
- 妊娠期間が平均よりも長い場合
- 入院の必要な感染症に生後1年以内に罹患している場合
でした。
この中で最も重要な因子としては、入院の必要な感染症に生後1年以内に罹患している場合でした。この場合、成人早期に関節リウマチに罹患する確率は2倍以上でした。また，関節リウマチのおもな2つの型のうち，血清反応陰性型がはるかに多い結果でした（血液検査が陰性でも関節リウマチであることは多いです。）。
さらに，重度の感染症があると少年期の突発性関節炎リスクが約2倍になっています。これは呼吸器，消化器，皮膚／軟部組織の感染で特に顕著でした。
感染症は人生後期の関節リウマチ、膠原病などの炎症性疾患のトリガーとなることがすでに指摘されていますが，今回の予備研究では，人生の早期でも未成熟の免疫系の発達に変化をもたらすことが示されています。