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関節リウマチ・膠原病に早期の認知行動療法
関節リウマチ、膠原病、自己免疫疾患などは、全身に慢性の炎症による不快な症状が持続するために抑うつ症状などの精神的な影響を受けます。精神的な影響がさらに慢性炎症を悪化させていきます。
当研究所では精神と免疫の強い結び付きに早くから着目し、心理的治療アプローチを行っています。
今回、関節リウマチ(RA)患者さんが早期段階で認知行動療法(CBT)を受けることにより心理的および身体的影響が改善され,5年間にわたり医療介入頻度が低下したことが発表されました(Arthritis Care & Research(2008; 59: 311-316))。
今回の論文で関節リウマチ(RA)患者さん47例への医療介入というのは、夜間入院患者数,理学療法紹介数,注射回数 などの項目で評価しています。
関節リウマチ(RA)患者さんは,通常の治療と8回のCBTを行う群と通常の治療のみを行う群に,それぞれランダム化割り付けされました。
その結果,CBT実施群では治療後 と6か月の経過観察後に抑うつ症状が減少しましたが,通常治療群では悪化しており,両群間で有意差が認められました。また,CBT実施群で関節症状の顕著な改善が認められたということです。
著者は、「関節リウマチ(RA)患者さんに対するCBTの実施で心理的および身体的影響を改善し,5年間という長期にわたり医療介入頻度を低下させることができた。これにより,特に早期のCBTの有効性が裏づけられた」と結論づけています。
関節リウマチ、膠原病、自己免疫疾患などの全身の慢性炎症疾患では、精神的なサポートが病気の予後にも左右することが医学的にも証明されています。しかし、現代医療ではそこまでサポートする体制もなければ、財政的にも余裕がありません。理想の医療を実現するためにはまだまだ乗り越えないといけない社会的問題が山積みです。