関節リウマチ医学最新ニュース（８７）
若年性特発性関節炎: 抗リウマチ薬少ないとエタネルセプトの治療反応良好
若年性特発性関節炎（JIA）例におけるエタネルセプト治療反応性の検討から，治療反応良好（excellent remission）と関連していたのは同薬投与前の抗リウマチ薬（DMARD）投与数が少ないこと，Childhood Health Assessment Questionnaire（CHAQ）スコアおよび発症年齢が低いことであったと報告されました（JAMA11月6日オンライン版）。
これは、抗リウマチ薬が少ない軽症のリウマチ患者さん（今回は若年性特発性関節炎の患者さん）ほどエタネルセプトの効果があったというものです。軽症の患者さんにはエタネルセプトなどの生物学的製剤を使用することはほとんどないため、この研究結果は特になんの新しい知見もありません。
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→対象は，The Arthritis and Biologicals in Children Registerに登録されたJIA患児262例（女児71％，発症中央値6.9歳）。エタネルセプト投与開始年齢中央値は12.4歳，投与開始までの罹病期間中央値3.0年であった。
各治療反応性の基準として，“excellent response”は非活動性または寛解，“intermediate response”は投与前に比べ50％以上の改善（非活動性ではない），“poor response”は50％未満の改善または，無効・不耐性による早期の投与中止とした。
エタネルセプト投与開始15カ月後，excellent responseは85例（32％）に認められ，intermediate responseは92例（36％），poor responseは85例（32％）であった。
excellent responseおよびintermediate response・poor responseを比較したところ，excellent responseの規定因子として見いだされたのは次の3つ。
- 発症年齢が低い：オッズ比（OR） 0.92（95％CI 0.84～0.99），P＝0.03
- エタネルセプト投与前のメトトレキサート（MTX）を含むDMARDの数が少ない：同0.64（同0.43～0.95），P＝0.03
- Childhood Health Assessment Questionnaire（CHAQ）スコアが低い：同0.49（同0.33～0.74），P＜0.001
一方，intermediate responseとpoor responseとの比較から，poor responseの規定因子として次の2つが見いだされた。
- 女児（vs. 男児）：同2.16（同1.12～4.18），P＝0.02
- 全身型JIA（vs. 関節型JIA）：同2.92（同1.26～6.80），P＝0.01