関節リウマチ医学最新ニュース(54)

日和見感染で関節リウマチ薬の臨床試験が中断

関節リウマチを対象に実施されていた新しい生物学的製剤の臨床試験で日和見感染が高頻度に起こり、アジア地域の臨床試験が中断されました。中断されたのは、オクレリズマブ(開発番号R1594)のアジア地域でのフェーズ3。オクレリズマブはヒト化抗CD20モノクローナル抗体で、スイス・ロシュ社が国際共同治験のフェーズ3を実施中。日本はアジアの一地域としてフェーズ3から参加しており、中外製薬が実施しています。

フェーズ3の対象は、1種類以上の抗TNF療法で効果が得られなかった関節リウマチ患者さんです。日本での目標症例数は100例。メトトレキサート(商品名リウマ トレックスなど)7.5~8mg/週またはレフルノミド(アラバ錠)10~20mg/日に、オクレリズマブ200mgを併用した群と、オクレリズマブ 500mgを併用した群、偽薬群の3群について、投与から24週後および48週後のACR20達成率を3群間で比較する無作為割付二重盲検国際共同試験 が実施されていました。

ところが、アジア地域のフェーズ3でニューモシスティス肺炎などの日和見感染が高頻度で起き、プロトコルの規定数を超えたため、アジア地域の臨床試験が中断されました。ニューモシスティス肺炎などの日和見感染は、以前から関節リウマチの生物学的製剤やメトトレキサートの投与例でも認められているものです。特に、欧米に比べて日本での発症率が高いことが指摘されています。

欧米で行われているオクレリズマブのフェーズ3で、同様の問題は起きていないということです。日和見感染がアジア地域で高頻度に起きる背景には、人種差などが関係している可能性があると推測されています。

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