関節リウマチ医学最新ニュース（４９）
関節リウマチの慢性炎症の誘因分子を発見
ヒトの体内で産生されて免疫系活性化の誘因となるテネイシンCと呼ばれるシグナル分子が，関節リウマチ（RA）において重要な役割を果たしている可能性がある報告されました（Nature Medicine（2009; 15: 774-780）。
関節リウマチ全患者さんの約半数では，現在利用可能な複数の治療法は効果が見られず，現時点で有効な生物学的製剤も，効果に個人差があり、時間とともに無効になる可能性があります。
細菌に感染すると，ヒトの体内でTLR4と呼ばれる分子スイッチが"オン"になり免疫系が活性化します。今回の知見では，シグナル分子のテネイシンCが，関節リウマチでも同じ分子スイッチを起動して免疫系を活性化させることが示されました。したがって，関節中のテネイシンC濃度が高ければ，免疫系が活性化して関節を攻撃し，RAを引き起こす可能性があると考えられます。
テネイシンCが活性化させるTLR4は免疫細胞の表面に認められますが、これまでの研究で，TLR4欠損マウスでは関節の慢性炎症が見られないことが示されていました。したがってテネイシンCを阻害する方法が新たな関節リウマチの治療として研究が進められるようです。
今回の論文の結論は，5件の研究から得られています。
詳細はコチラ→
1件の研究は，炎症の持続にはテネイシンCが必要であることを示唆していた。テネイシンCのコード遺伝子 を持つマウスと持たないマウスに関節の炎症を誘発させたところ，テネイシンCを産生可能なマウスには骨と軟骨の破壊を伴う重度の関節腫脹が発生するが，テネイシンCを産生できないマウスではこうした症状が全く発生しないことが判明した。
引き続き行われた研究では，マウスの関節にテネイシンC分子の活性部分を注入した。その結果，マウスの関節に炎症が生じ，注入量の多さに比例して反応が強まることがわかった。
別の実験では，テネイシンCによって炎症を惹起する分子の濃度が上昇し，そのために関節の腫脹が引き起こされることが明らかになった。RA患者の 腫脹した関節からマクロファージと線維芽細胞を採取し，テネイシンCを添加したところ，これらの細胞で炎症性分子の産生が増加した。
ヒトの体内で産生されて免疫系活性化の誘因となるテネイシンCと呼ばれるシグナル分子が，関節リウマチ（RA）において重要な役割を果たしている可能性がある報告されました（Nature Medicine（2009; 15: 774-780）。
関節リウマチ全患者さんの約半数では，現在利用可能な複数の治療法は効果が見られず，現時点で有効な生物学的製剤も，効果に個人差があり、時間とともに無効になる可能性があります。
細菌に感染すると，ヒトの体内でTLR4と呼ばれる分子スイッチが"オン"になり免疫系が活性化します。今回の知見では，シグナル分子のテネイシンCが，関節リウマチでも同じ分子スイッチを起動して免疫系を活性化させることが示されました。したがって，関節中のテネイシンC濃度が高ければ，免疫系が活性化して関節を攻撃し，RAを引き起こす可能性があると考えられます。
テネイシンCが活性化させるTLR4は免疫細胞の表面に認められますが、これまでの研究で，TLR4欠損マウスでは関節の慢性炎症が見られないことが示されていました。したがってテネイシンCを阻害する方法が新たな関節リウマチの治療として研究が進められるようです。
今回の論文の結論は，5件の研究から得られています。
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1件の研究は，炎症の持続にはテネイシンCが必要であることを示唆していた。テネイシンCのコード遺伝子 を持つマウスと持たないマウスに関節の炎症を誘発させたところ，テネイシンCを産生可能なマウスには骨と軟骨の破壊を伴う重度の関節腫脹が発生するが，テネイシンCを産生できないマウスではこうした症状が全く発生しないことが判明した。
引き続き行われた研究では，マウスの関節にテネイシンC分子の活性部分を注入した。その結果，マウスの関節に炎症が生じ，注入量の多さに比例して反応が強まることがわかった。
別の実験では，テネイシンCによって炎症を惹起する分子の濃度が上昇し，そのために関節の腫脹が引き起こされることが明らかになった。RA患者の 腫脹した関節からマクロファージと線維芽細胞を採取し，テネイシンCを添加したところ，これらの細胞で炎症性分子の産生が増加した。