関節リウマチ医学最新ニュース(20)
リウマチの関節炎症症状を抑えて感染症も同時に防ぐ
炎症反応を抑える作用があるタンパク質「ガレクチン9」に、体内に侵入した細菌やウイルスを退治する働きを強める作用があるらしいことが、香川大の平島光臣(ひらしま・みつおみ)教授(免疫病理学)と米ハーバード大などの研究チームが突き止め、米科学誌サイエンスに発表されました。
ガレクチンは糖(ガラクトース)と結合するレクチンとよばれるタンパク質です。ガレクチンが結合する細胞表面の受容体に着目。白血球の一種マクロファージの受容体にガレクチンがくっつくと、細菌やウイルスを食べるマクロファージの働きが強まることを確かめられました。
一方でガレクチンは、炎症関連物質を出す別の白血球の働きを抑制。生体内で2種類の白血球のバランスを取りながら制御していると推測されました。
従来は、炎症サイトカインを抑える物質を投与すると、感染症の副作用が起こることが最大のネックでした。しかし、炎症サイトカインを野放しにするとリウマチ、膠原病などの自己免疫疾患が起きます。
ガレクチン9で関節リウマチ患者さんの関節の炎症が抑えられることが報告されていました。
ガレクチンがその両方を抑えるのであれば、炎症が関係するリウマチや膠原(こうげん)病など、自己免疫疾患の新たな治療薬として期待されるでしょう。