現役医師であり統合医療の第一人者である崎谷医師が、関節リウマチの症状・原因・治療に悩む方に対して情報を発信しています。
関節リウマチ医学最新ニュース(27)
TNF阻害薬作用機序を解明:関節リウマチのB細胞形成を阻害
関節リウマチ(RA)の治療には腫瘍壊死因子(TNF)阻害薬がきわめて有効であるが,免疫システムへの効果は明らかにされていない。一方,RAやループスの発症にはB細胞が関与していることが徐々に解明されてきたが,両者の関連はこれまで明らかではなかった。は,TNF阻害薬のエタネルセプトはB細胞の分子的"訓練場"である胚中心を解体し,異常なB細胞を減少させることがわかったとに発表した。
エタネルセプト,adalimumab,インフリキシマブなどのTNF阻害薬は,関節リウマチ・膠原病の多くで重要な役割を果たしているB細胞に作用し,異常なB細胞活性を抑制するとおわれています。
ロチェスター大学医療センター内科・微生物学・免疫学のIgnacio Sanz教授らは、耳鼻咽喉科の医師らと協力して関節リウマチ患者さん45例と健康人22例から扁桃組織を採取し,リンパ系の構造を直接観察しました。治療薬は,エタネルセプト単剤,メトトレキサート単剤,両薬の併用でした(Journal of Immunology(2008; 180: 688-692))。
TNF阻害薬を投与した関節リュウマチ患者のリンパ組織中のメモリーB細胞の割合は約40%低下した。また,リンパ節の胚中心の数は,治療を受けなかった患者の約 4 分の 1 で,サイズも小さく構造も乱れていた。
このことより,TNF阻害薬が,リンパ系における免疫細胞の"訓練場"となる胚中心を破壊することを示していまする。通常,胚中心は疾患に罹患すると突然形成され,B細胞やT細胞が細菌やウイルスなどの外敵に関する情報を収集・交換するための訓練場として機能します。ここで早急に産生された大量のB細胞は,外敵の捕捉・破壊に関与する。
健康人ではいったん感染症が沈静化すると胚中心は徐々に消失する。しかし,関節リウマチやループス(膠原病)などの慢性免疫疾患患者では胚中心が長期間残存し,大量の免疫細胞を訓練し続けるため,これらの細胞が誤って自己組織を破壊するようになり,全身で大破壊が始まります。
免疫系を活性化させる化学伝達物質のTNFが,関節リウマチやSLEなどの膠原病で重要な役割を担うことは既に知られていて,TNF阻害薬が初めて承認されたのは10年ほど前です。さらに,2006年にはB細胞を標的とするリツキシマブが関節リュマチの治療薬として承認されました。リツキシマブは、もともとリンパ腫治療薬として初めて承認されたものですが,遊走B細胞を破壊することから関節リウマチやSLEなどの膠原病で使われるようになったのです。
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